ガリーボーイをみた

「明け方まで酒を……?」

「今日は寝て過ごすのかい?」

「とんだ地獄だねぇ」

 

 

入場特典でガリーボーイのシールをもらいました。

会社のリースノートパソコンに貼りました。

 

世界史選択をしていなくても知っていると思うがインドの身分制度はとても厳しい。

親の身分は子供にも受け継がれる。

 

主人公「ムラド」はインドのスラム出身の大学生だ。(見た目はおっさんにしか見えない)

スラム出身だがいい所に就職出来るように大学に行く金を親から出してもらっているが、悪友とつるみ「車拾い」で小銭を稼ぎ、身分違いの女の子と付き合っている。

 

ムラドは最終的にはどデカいラップバトルで優勝してラッパーとして成功するんだが、そこまでの道のりがマジでハード。

親父からは「クソ金かけて大学に行かせているのにやってることはラップだと?!巫山戯るな!!」とぶん殴り「見ていいのは身の丈にあった夢だけだ」と言い聞かせる。

 

彼女のサフィナは愛情深いが1度キレると手をつけられず、愛のメッセージをムラドに送ってきた女をぶん殴りに行く。

「なんであんなことしたんだ!」

「恋人を誘惑するから殴ったのよ!」

「お前は女ギャングか……?」

「信じて、二度としないと誓うから」

「何に誓った?」

「あんたの死」

やべ〜やつじゃん。サイコー。

なお彼女はなんやかんやあって一旦別れるんだけど、その原因もプロデューサーの女とムラドが1回寝ちゃって、それにキレてプロデューサーを瓶でぶん殴ってた。

 

友人のモインは子供を使ってアヘンの売買をするし車盗みにムラドを巻き込む。(終盤の方はムラドが生活に困窮して自分から悪の世界に沈むが)

 

登場人物大半がその身分や暮らしのせいで卑屈でクソ野郎な感じなんだけど、親父が「身分相応」ってムラドに言うのは大きな夢を持っても身分のせいで叶わないし辛くて痛い目を見るだけだって自分の教訓から伝えてるし、彼女は暴力的だけど、ムラドが「大きな夢を見たら追うべきか?」と身分のせいで卑屈になってるムラドに「勿論よ。望み(ムラド)だもの」って名前にかけてその背中を押してあげるし、犯罪がバレてパクられたモインは同罪のムラドを庇うために口を閉ざし、保釈のために自白するというムラドに対して

「捕まったり逃げたり、それが俺の人生だ。俺を保釈するためにそんなことをするのはやめろ」

「でもお前はいつも俺を庇ってくれた。今度は俺がお前を助ける番だ」

「どうせ助けるならラップバトルで勝った賞金で保釈してくれ」

って、この流れめちゃくちゃ熱くてなんだかんだいい兄貴分だったんだなーて感じだった。

 

1番キたのはムラドが就職した伯父の会社で、ラップバトルの1次審査があるから会社を休みたいと申し出た時に「使用人の子は使用人だ。人生にチャンスは1度だ、逃がすなよ」と成功するかしないか分からない茨の道より大人しく身分に従って従順に生きろといい、ムラドはその言葉に呑まれてしまって出社するんだけど、その姿を見た伯父が「今日、お前の人生は決まった」と言った瞬間、ムラドがやっぱり「ラップ」が俺の人生!!って職場を飛び出すの最高だった。

 

 

でもやっぱり相棒ポジションのシェールが最強だ……

「落ち着き払った奴がラップをするか?」

「この国の人間は身分で話すが、こいつは目で話す」

「夢中になれば金はついてくる」

「現実的な夢だけを見るなんて意味がねぇよ。夢に合わせて現実を変えるんだ」

シェールの言葉はすごくムラドを前向きにするんだよな。

ラップバトルに2人で参加したけど、勝ち上がるのは1人で、当たりはしなかったけど、シェールは勝ち上がれなかった。そんな時も、妬んだりなんか全然しなくて、ムラドが1回戦進出した!!やったなブラザー!!!ってすごく喜んで肩を抱いて背中叩いてんの。

めっちゃ良い奴じゃん。

 

開始時は差別と貧困による抑圧だらけの世界なんだけど、ラップを通してムラドの世界はめちゃくちゃ広がる。

それで冒頭のラップバトルに勝利して、有名ラッパーのライブの前座を勝ち取るわけだ。

ありがちなトントン拍子のサクセスストーリーだと思うだろ?実話を元にしてんだ……。

ガリーボーイ観に行った時は事前情報なしで、純粋にムラドやシェールのラップにノッてたけど、終わってからガリーボーイのサイト見に行ってびっくりした。純粋にすごい。

多くの人が「生まれ」に対してどうしようもない、こういう運命だったんだと諦めてしまってもこいつはそれでも「こんなんおかしいだろ!」て吠えて吠えて下剋上かましてんの。かっこいいなぁ。かっこよかった。