クイーンが死んだ

クイーン(メスカブトムシ)が死にました。
会社の人の畑から出てきたカブトムシの幼虫を貰って育ててきた、三重に引っ越して初めてのペット兼家族です。
夏には会社の人が捕獲したオスのカブトムシも仲間入りしましたが、「ムシに番がいて飼い主はぼっちなのは良くない(?)」という謎理論で同じケースで飼育することなく育て、結局オスの方は夏の終わりと共に亡くなり、クイーンと2人番なき女たちとして生活がはじまりました。

羽化して暫くはクイーンも元気でそんなに広くない虫かごの中を飛べもしないのに羽を広げてはケースのカゴに身体をぶつけるのでまるで夜泣きにノイローゼになる母親のごとくうんざりしましたが、夏を過ぎると彼女は羽を広げることをやめ、木くずに潜ったりがさごそと歩き回っては昆虫ゼリーに頭を突っ込んで餌を貪り食うようになった。
カブトムシは1年越さないというのは幼虫を貰った時にOKGoogleで調べに調べたのでそうやって極力体力を削らないようにし始めたクイーンを見て、キング同様彼女ももうすぐ死んでしまうのだな。
これが夏の終わりか。
な〜んて思っていたのですが、交尾をせずにいたためか中々にしぶとく9月をすぎてもじっと固まっては時折動き出すを繰り返し、10月に入った時点で「クイーンが過ごしやすい環境にしよう」と暖房をつけて寒くならないように配慮したり、昆虫ゼリーを浅く広いカップのものに変えたりした。
クイーンはお転婆なお嬢さんからいつしかおばあちゃんになっていたのだ。
毎朝クイーンに「おはよう」といい夜中に食べたゼリーの量をチェックし、毎夕「ただいま」といい不在時に死んでいないかチェックし、毎夜電気を消す前に「おやすみ」を言った。

11月にはいると私の王女は更に弱々しくなり、餌のカップがある木に行くのもやっと、という程になっていた。
あまりに憐れでゼリーまでの手助けと彼女を持ち上げた際、キングを看取り虫かごから取り出した時と同じような「軽さ」だったため「ああ、もうすぐなんだ」と思った。
右の2つ目の足が変な方向に曲がったまま戻らなくなった。
ゼリーを前にしても表面をさらう程しか減らなくなった。

今朝クイーンにおはようと言った時、まだ小さく足が動いていたので、今日は大丈夫。でも土日旅行に行ってる間に亡くなっていそうだな……と思った。
ご飯食べて帰ってきてただいまを言いにカゴへ向かったら彼女はいつも私がカゴを覗き見る方向の角にもたれかかったまま死んでいた。

クイーンが死んだ。
2日くらい前には正直覚悟していた、餌が減らないので。
彼女を残しておきたいと思ったので昆虫標本の作り方を調べていた、
歯ブラシなどでゴミを落としてお湯にいれたらまち針で刺し体を固定して乾かすのだ。
彼女の体にまち針刺せるかな……と思った。
今も悩んでいる。