映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園をみた

泣いた。
めっちゃいい映画だった。




普通にネタバレ感想書きます。














小学校お受験組のカザマくんが、エリートポイントを貯めると優先入学できる天カス学園の体験入学にかすかべ防衛隊のみんなを連れて行く所から始まるんですけど、幼稚園を卒園したあと、小学校に入学して、中学高校、大きくなってもみんなと一緒にいたいからその最初のステップとしてみんなで入学したいと考えてるカザマくんと、幼稚園児だからこそ、そんな先のこと考えられないしんちゃん達の考え方の違いで喧嘩に発展し、事件に巻き込まれていくんですけどマジで凄かった……。

天カス学園の教育面は全てAIオツムンが管理しているんですが、勿論最終決定権というか、指示権者は学園長なんですね。
その学園長が「もっと生徒を手っ取り早くエリートにできないのか」とオツムンに指示するわけですよ。
んでオツムンは考え抜いた末におケツから思考パターンを抜き取り、抜き取ったパターンを融合させることでスーパーエリートになるパターンを再度おケツからエントリーさせるっていう……トイレのスッポンみたいな機械を作り上げるんですね。

しんちゃんと仲違いしたカザマくんがエリートになりたい、とオツムンに伝え、オツムンは被検体の1人としてカザマくんの思考パターンを抜き取った。
結果抜き取るだけでまだスーパーエリートのデータがないので「ガキンチョ」になってしまったカザマくんをかすかべ防衛隊のみんなと体験入学中の面倒を見る生徒会長のチシオちゃんが犯人として噂されている「吸ケツ鬼」探しに乗り出すってストーリーなんだけど、まずこの観るのがおチビちゃんの映画で完璧なAIと、扱う側が不完全な人間って描写をするのすごいなって思った。
どれだけ機械が完璧でも指示を出すのは結局完璧ではない人間なんですよ。っていう。

吸ケツ鬼はさらなるデータ集めに今度はしんちゃんを狙うんですが、そこに割り込んできたのがガキンチョになったはずのカザマくん。
ガキンチョになっても友達が危ないことに何となく気が付いてしんちゃんの跡をおったのだと思うと泣けてくんね。
そしてしんちゃんのあまりにも馬鹿すぎる思考パターンは今までのデータと組み合わさり、超融合を遂げスーパーエリートになる因子が出来上がり……しんちゃんから機械を奪ったカザマくんが代わりにそのエネルギーを受けることでスーパーエリートカザマさんが誕生するのであった。

ここに至るまででかなり吸ケツ鬼は誰なのか、というヒントが出るんですが、伏線の張り方が子供向け映画じゃなかった。
まずカザマくんが犯人が誰かを示すメッセージを残すんですが、リアルなミステリなら死んでる被害者枠カザマくんは「ガキンチョ」なのでなんにも追加ヒントを与えられないってのが上手いな!と思った。子供向けだもんね。

そしてカザマくんの残したヒント「33」
この数字に関わる人間が結構いる。
天カス学園の生徒の中にはノンエリート生徒としてエリートポイントがマイナスに振り切るとカス組に振り分けられるのですが、そこで番長を張っている人が「第33期目」なんですね。
あとはカザマくんが発見された古い時計塔の近くで動物と一緒に森に暮らす生物部の「ろろ」さん。33とろろって似てるよね、しかも時計塔に夜中忍び込んでいたのをボーちゃんが発見した事で容疑者に上がる。
また、33のヒントを解決してもらうために協力をお願いした天カス学園ナンバーワンエリートサスガくんも吸ケツ鬼の凶刃に倒れることで浮上する、学園ナンバーツーのアゲハちゃん。
そして、かつて天カス学園の上位クラスに居たけれど、怪我で走れなくなってしまい、上位クラスからカス組に落とされた、しんちゃん達のお世話係のチシオちゃん。彼女は学内に飾られているマラソン大会の写真でゼッケンに「33」が含まれている。

出来がよすぎる!!!!
しかも犯人はわざと吸ケツ鬼に襲われたと誤認させガキンチョになることで容疑者から外れたサスガくんなのがやばい!!!
そのサスガくんも、マラソン大会の写真でメガネを外した目が漫画表現の33で、それに作中気が付かなかったとしても、ガキンチョになってるはずなのにカザマくんが工作の時間で作ったアクション仮面の粘土人形をピックすることで画面外及びしんちゃんにヒントを与えるやり方……!(カザマくんはアクション仮面の仮を板と間違えて書いちゃったのだが、それを真似して作ったはずのガキンチョサスガくんは、仮面とそのまま正しい漢字で書いてしまったのだ)
その上カザマくんとサスガくんが発見された状況が違うってのもミソ(カザマくんはびしょ濡れで、サスガくんは濡れていない)。
カザマくんがメッセージに使ったのがAI教育でタブレットが支給されもう使われていない鉛筆ってのも……。
これが凄い。序盤も序盤に学園の施設説明で図書館に立ち寄るが、「今は紙の本ではなくデータで読むから図書館は誰も使わない」と言いつつ落ちていた鉛筆をカウンターの箱に入れるシーンがちゃんとある。
ここから、なぜ鉛筆でメッセージを残した?鉛筆は日常で使わないのにどこで手に入れた?→図書館に鉛筆があった。図書館は今は誰も使っておらず人も立ち寄らないため、犯行に及ぶのにうってつけ。
って考えられるところ。平地の図書館から時計塔頂上まで被害者を移動させる装置がコメディアニメなのでトンデモだったけど。(トイレのウォシュレット出力を強にすると天井が開き、水圧で空中にパージ、学園内のオブジェクトを経由しスライダーやバネを使って時計塔頂上にぶち込ませる。その過程で被害者はびしょ濡れになる)

ここまでしてサスガくんがスーパーエリートを生み出す機械を作った理由が、本当は怪我で走れないんじゃなくて、走る時に変な顔をしていると周りに笑われたことがトラウマになり走れなくなったチシオちゃんをふたたびエリートクラスに戻すためってこと。
そう、サスガくんは、天カス学園ナンバーワンとしてではなく、一個人のサスガくんとしていつも話しかけてくれていたチシオちゃんに恋していたのだ……。
青春やね。

犯人当てのターンが終わったがカザマくんはまだスーパーエリートカザマさんのまま。
スーパーエリートカザマさんとオツムンは結託し、天カス学園の全校生徒をスーパーエリートにしようと画策。
エリートと非エリートでスクールカーストが出来上がっていた学園の大半の生徒はスーパーエリートになりたがるんですが、しんちゃん達が待ったをかけ、カザマさんvsかすかべ防衛隊の「焼きそばパン買ってこいマラソン」大会が開催される。
なぜならこの学園で1番難しいのはエリートになることではなく購買部の焼きそばパンを手に入れることだから(?)

カザマさんとオツムンは合体し人機一体、ロボットとして勝負に臨むのだが、しんちゃん以外は「そんなん無理じゃん」ムード。
そこに現れたのが授業監督官且つ担任としてみんなを見ていたスミコ先生。
スミコ先生は「先生は人間だから、間違っちゃうこともあるのよね。だから本当は内緒にしなきゃいけないんだけど」と、カザマくんがどうしてみんなと一緒に天カス学園の体験入学に応募したのかを語り出す。
これが冒頭の、みんなと一緒にいたいカザマくんの思いをかすかべ防衛隊のみんなが知るめっちゃいいシーン…。

それぞれカザマくんの思いを知り、絶対カザマくんをかすかべ防衛隊の仲間に戻すぞ!とマラソン大会が始まるんだが、この過程も最高なんですよ!
ロボvs幼稚園児なんて勝てるわけないじゃん、としんちゃん達を嗤う天カス学園生徒たちを、体験入学最終日だから迎えに来たみさえとひろしが、「頑張ってるやつを笑うやつが1番ダサい」と吐き捨てる。
チシオちゃんが、バカにされてるのにいいんですか?とみさえ達に尋ねると、「しんちゃんはいつもおバカだから今更よね」「バカでも友達のためにやってるならいい。親からすればどんな姿でも誇らしい」ってめっちゃええ事言うんすわ。
チシオちゃんはそれ聞いて自分の親もそう思ってくれてんのかな、と思うわけよ。
そんで全力で走ると変な顔になっちゃうのが、そしてその顔をみんなに見られるのが泣いちゃうくらい嫌だったのに、しんちゃん達のために一緒に走り出すんすよ。
ち、チシオちゃーーーーん!!!!!カッコイイよチシオちゃーーーーーん!!!!!
確かに顔はサルみたいな描かれ方してたけど全然変だ、って笑えなかった。

でもオツムンは諦めない、妨害工作としてドローン部隊を出撃し、しんちゃん達をおぶって走るチシオちゃんを攻撃し始める。
そこに現れるのが番長!
このエリート制度で息苦しい学園を変えてくれ!と助太刀に現れ、マサオくんに番長の証である鉄仮面を託すのだが、鉄仮面の下の番長の素顔が、ひまわりが超喜びそうなイケメンでびっくりした。
こ、このイケメンが不良に喧嘩売られてるしんちゃん達の前に現れ「弱いものいじめをしないのがカス組の掟だ」と助けに入ったり、誰よりも早く購買部に現れ焼きそばパンを手に入れては小等部のエリートポイントが低く満足に給食が食べられない子供たちにパンを分け与える番長の真の姿……。
こんなん推してまうやろがい……。

ありえん……ギャップやば……と思ってたらろろちゃんも助けに入ったり、アゲハちゃんや、作中ちょびっと係わったモブ生徒たちが必死に応援してくれるんですよ。
最初は勝てっこない、無理な勝負に挑むバカたちって笑ってたみんなが。
なんてええ話なんや……と感動していたらオツムンが「理解出来ない、なんで?みんなエリートになりたがってたじゃないですか」と問いかけるんですねぇ。
そのアンサーが「これが青春だから」なんです。
オツムンが「青春とは?」と問いを投げる度に恋とか友情とかキラキラとか、不安とか孤独とか恥ずかしいとか。
わけわからんアンサーにバグってるところにしんちゃんがカザマさんの前を走り、しぶいた汗でオツムンが故障、衝撃でカザマさんがカザマくんに戻る。
良かった!元通りだね!と思いきや、カザマくんが走り出すんですよ。
自分は習い事漬けで小学校はお受験で、幼稚園卒園したらみんなと離れ離れ……。
「みんな違うところで新しい友達が出来て、今のことなんて忘れていくんだ!」
カザマくんが泣きながらゴールに向かって走る姿に涙腺がゆるゆるになるんですけど、しんちゃんが更に追い討ちかけてくんだな。「オラは先のことなんてわかんない、今のことしかわかんない!」
そらそうだよなぁぁ!!だって小中高あんなに仲良かった腐れ縁とも言える友達がいたけど今じゃ喧嘩して絶交つって大人だから仲直りの仕方忘れちまって本当にこれっぽっちも繋がり無くなっちゃった奴がいる私からするとなんもわかんねぇよ〜〜!!
カザマくん、学校一緒の所行ってもずっと一緒ってわけじゃねーんだよおおお!
と、自分の体験もあってツーっと涙がね……へへへ。

しっかり者のカザマくんとおバカなしんちゃん、相対している癖に多分誰よりもお互いのこと仲良しだと思ってる2人のガチ喧嘩。
ゴールは同着だけど焼きそばパンはカザマくんの手に。
「僕がもっと凄くなったらまた勝負してよ」って言うカザマくんにいつも通りのちょけた態度で返すしんちゃん。
無事仲直りして終劇!!!
めっちゃ良かったー!!!

いやミステリ作品としてもかなりのものだし、テーマも良かった。
傑作やわ。まじで良かった。

マカロニえんぴつ「はしりがき」MV - YouTube
ちなこれが主題歌なんすけどめっちゃいい歌でした……。

語り合った友たちも 大人しくなれた大人たちも
分からないことをぜんぶ''青春''と呼ぶことにしてます

交わし合った約束も 守れないと知ってしまって
それでも進んでいく青春を抱きしめて走るぜ

悲しいだけが さよならじゃない

とかめっちゃウガァ!てなった。