犬王をみた

アヴちゃんの歌声やばすぎて鳥肌たった。




友魚が琵琶法師になるまでの自然描写がめちゃくちゃ好き。
ぼんやりした視界の世界に耳から入る音で自然や動物の姿を捉えるところ!
琵琶法師の谷一と出会い、盲ていても楽器が弾けるの?と聞いた友魚に対して、自分の他にもここには沢山いる。と答える谷一に応えるように他の琵琶法師たちが琵琶を鳴らして見えなかった世界に人影が増えていくのも良かった……。

お父さんの幽霊が友魚を突き動かすが、谷一と出会って琵琶を習い、友一の名を貰ったところで犬王と遭遇、2人とも自由に音楽と踊りを楽しんでてこっちも楽しくなってきたところで、犬王と友一の橋下でのゲリラライブでグアっと心臓掴まれる。
いい音楽流れると体が揺れてしまう。
腕塚も鯨も演出が凝ってて凄かった。
友一は犬王が平家の亡霊から聞き取った話を歌うために名前を友有に変えて、足利の前で申楽を……となったあたりで雲行きが一気に怪しくなる。
なんで犬王は異形の子として生まれたのか、その話を拾っていったり。
あとは南北統一のために犬王の申楽は禁止にされたりとか。

犬王は友有を生かすために自分の物語を封じ、友有は犬王の物語を消させないために友有を名乗り続けるけど結果首を落とされる。
お互いがお互いのことを想いあっていたから起きた悲劇でめちゃくちゃ泣いた。
こういうのに弱いオタクなので。

首を落とされる瞬間、きっと友有は自分は友有だって言って死にたかっただろうに、弦が切れて心も折れちゃったのか所詮俺は壇ノ浦の友魚……って言って死んでしまうの辛すぎんか。
でもラスト亡霊になっても1人犬王の物語を歌い続ける友魚が「どうして俺はここに有るのか……」と呟くと、ここに居たのか、名前が違うから探すのに時間がかかったぞ!と犬王の霊が友魚の前に現れる。

自分の物語を封じた犬王の代わりに友魚だけが誰も知らない、誰も聞いていない場所でずっと歌い続けてたの、もう、もうね……!
マジで最高だった……。
たけき者も遂には滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じをまんまやってた。
盛者必衰沈まぬものはなし。でも犬王と友魚は再会したし、笑いながら音楽と踊りを楽しんで天にのぼっていったのでバカ泣いたけど良いラストだった。