アド・アストラをみた

終始セリフよりも主人公のブラッド・ピットの独白が多い映画で「うわぁ!」という盛り上がりに欠けているのに常に緊張しっぱなしの映画だった。

 

初っ端から奥さんとの離婚シーンで始まるロイ(ブラピ)は、宇宙飛行士として理想的な人物だった。

あらゆる能力に優れ人当たりも良く心を乱すことなくその場その時に必要な判断をし、淡々とこなせる。

内心は他者の気持ちが理解できない上、分かり合えない相手との触れ合いを嫌う人物だった。

クルーに挨拶がてらボディタッチされたときの独白なんか「僕に触るな」だからな……!尖りすぎ!

 

独白による自己紹介のあとはベース基地の修理点検で宇宙空間へ出るんだけど地球綺麗〜とか、そんな感想は色んな映画観てきたから抱かねぇんだよ……こういう場面で起こるのはなァ!事件なんだよ!!

とドキドキしながら見てたらマジで事件が起きた。

突如起きたサージ電流によって機械が不調をきたして爆発!地球へ真っ逆さまにおちるロイ!うほー!!!

 

ぐるんぐるん回る視界、心が死んでるから「どうすれば生きられるか」を冷静に考えてその通りに行動するロイ……こいつ絶対ジェットコースターとか楽しくないんだろうなて思った。

ていうか心死んでるし奥さんと離婚したし仕事仲間に「僕に触るな」とか思っちゃうやつが遊園地にわざわざ行ってジェットコースター乗るわけない。

その誘いがどうしても断れなかったら行って乗りそう。

 

サージ電流で沢山の人が死にまくったが生き残ったロイはまたも独白で「自滅的感情しかない」と奥さんに吐かれた暴言を思い出し、僕には感情がないです……となんとも言えない表情で語る。

普通の人に見せかけてる異常者というかなんというか……

先天性ならサイコパス、環境による後天性ならソシオパスって言うんだっけ?

 

ところで俺のイチオシアニメ

PSYCHO-PASS

が3期を迎えるよ!

TVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』公式サイト

ビジュアルみるとくそ霜月美佳がリーダー顔で立ってて泣いてるよ!

私の常守朱捜査官どこ行ったの……2期からの続投雛河くんしかいないし1期からだとシオンさんしか居ないんだけど……あの……。

確かにつねこが出ると彼女は精神力ゴリラすぎて色相濁らない最強ゴリラウーマンだからこのアニメにおいては「強すぎる」けど、そんなつねこがシビュラシステムではなく人が人として生きていくルール、人が敷いた法に沿って生きていく未来を得るために奮闘する姿が見たいんだよ……!

つねこがシビュラに勝とうが負けようが、AIによる統治が素晴らしかろうがなかろうが、関係ないんです……つねこの足掻いたその先を見たかったんだ……。

 

ちょっとPSYCHO-PASSについての話をすると常守朱という強大すぎる「推し」への気持ちがデカすぎて話が進まないからつねこについてはいつかちゃんとひとつの記事として語りたいから今日は我慢する……いやほんとなんで俺はつねこを思いながら泣いているんだ……??

 

閑話休題

 

え〜〜……

ソシオパス!異常者のロイくんね!

上司命令で呼び出されたらサージ電流は海王星が発端で、そこには「リマ計画」で命を散らせたはずのロイくんのパパが実は生きていてそのパパがこのサージ電流を起こしているから、火星に行ってパパにやめて〜ってメッセージを送れ!と言われました。言われたんです。

 

小さい頃自分とママを捨てて宇宙へ旅立ち帰らぬ人となったパパが実は生きていると言われ俄には信じられないロイ。

ロイはパパに捨てられたのがとてもトラウマになっているようだ。

パパの元同僚が監視も含めて一緒に火星まで行くことになったが、元同僚曰く「探査の旅は時として逃避となる」と語る。

宇宙の旅と同列になるのか分からないけど一人旅とか黙々と歩いているとそういう「トランス」に陥ることはあるよね。

主に思い通りにいかないクソッタレな世界について何もかもクソだと吠えながら私は歩いています。

 

「逃避の旅」についてはロイも思い当たることがあった。

離婚した奥さんだ。

家にいるより宇宙にいた方が楽なんだ。だってロイは人の感情の機微とかわからんから。

相手が自分になにを求めているのか全然わからない。

だから「聞くべき時に口を開き、優しくすべき時に辛く当たった」なんて独白する。

まあ自分喋ってんのに被せてきたり抑えて自分の意見行ってきたらくそむかつくししんどい時にさらにしんどい態度とられたらクソって思うよね。

向こう3年いぼ痔で苦しめって思います。

 

出発前から心が死にそうになってるロイくんであったが、なんとか月までやってきた。

かつてアポロが月に降り立ったあの感動なんて過去のもの、ありとあらゆる人間が宇宙旅行と称して月に観光にくる。

そして月には国境がなく、1歩立入禁止区域へ出るとそこはマッドマックス怒りのデスロード。

資源の奪い合いによる殺人・誘拐まさに無法地帯。

「どこまで行っても人は人」て感じ。

そしてそんな宇宙ギャングに襲われ満身創痍のロイとパパの元同僚。

過酷なデスロードでパパの元同僚おじいちゃんは不整脈によりロケットに乗ることが出来ず、火星までロイは1人……。

ロケットを操縦するパイロットと、そのクルーたちは月の圏外に出た瞬間からドラッグパーティーを始めるし、出発前におじいちゃんから「宇宙軍を信用するな」と怖すぎる助言残すしロイくんはそろそろやばいと思う。

でもそのやばさが逆に「普通の人間」に近付けている。

但しこの環境での「普通」なので「普通に病んでる」

多分今までだったらなんともなかったんだけど度重なるストレスでロイくんは病んだ。可哀想。でもまともな人間になりつつあるよ。病んでるけど……。

どっちがマシなんだろうな??

 

火星への道のり、メーデー!の信号を出している船を助けに行くぞ!となったキャプテンに押されてロイくんはある船に向かう。

生物実験を行っている船

 

 

生物実験を行っている船

 

 

宇宙+生物実験=モンスター

と単純な脳みそは弾き出した。

この場合のモンスターとは触手とか不定形とか名状しがたきものです。

コズミックホラーキタコレ!こいよ!クトゥルフ的なクリーチャー!

パパとか忘れて今から宇宙戦争始めようぜ!!!

(そういえば最近宇宙戦争がドラマ化?するって情報を見ました。トム・クルーズが主演の映画版宇宙戦争みたいなポッド型宇宙人のままだそうです。良かったねオタク。僕も嬉しい)

まあ実際生物実験てマウスとかおさるさんなのでやっぱりおさるさんがサージ電流で制御効かなくなった船で大暴れして人間もぐもぐしてたよってオチでした。

ガッカリ。

ついでにキャプテンもなんかもぐもぐされて死にました。なにしてんだ全く。

 

クトゥルフ的クリーチャーとの出会いがなくガッカリしたままロイくんは火星に着陸。

「与えられた仕事をして、生きて、死んでいく」と人生に絶望し始めました。

独白が鬱々しいぜ。まあ真っ当な人間はだいたいみんなそんなこと腹の中で考えながらおくびにも出さずに生きてるからそんなもんだよ。

たまに腹の中で考えられなくてぶちまけてる下品なやつもいるけどそんなもんだよ。

 

辛い気持ちになりながら火星から健気にメッセージを送り続けるが返答はなし。

やっぱ死んでんじゃないの?でも生きて返答してくれたら嬉しいな……パパのこと嫌いになれないし……。

と思いをこじらせたロイくんは台本とは違う、ぼくとぱぱのむかしのおもいでを電波に乗せた。

功を奏したのかダメだったのか分からないがそのせいでロイくんは任務から外されることになった。

多分返答なしの上、命令違反で外されたに1票です!

でも精神が病んでるやつは協力が必要な宇宙の旅に出れないよ!お前は精神が安定するまで火星にいなさい!

と火星に軟禁されるロイくん。

軟禁の規模がやばい。これが宇宙映画。

イライラMAXの彼の前に現れたのは火星基地のリーダー。

リーダーはパパと同じ「リマ計画」に参加したクルーを親に持つ人で、「リマ計画」の真実を知るものだった。

 

パパはリマ計画で「知性ある地球外生物」を見つけるために宇宙の旅に出たが、あまりにも長い旅に、ついにクルーの1部で地球に帰りたいと言い出す人達がでた。

パパは夢追い人なので、地球外生物が見つかるまで地球には戻らねぇ!と反抗するクルーたちを殺して周り、「地球には戻りません!」と軍へ向けてメッセージまで送り消息を経っていた。

尖ってんな……狂人じゃん。

そしてメッセージを送り続けても埒が明かないと軍は核でパパとサージ電流を発しているパパの船をぶっ壊しに行くと決定した。

 

それをするんは自分の仕事だ〜!と宇宙船に乗り込むロイくん。

反発するクルー。

悲しいかなエンジン切り離しの衝撃で死んだりガス管に被弾して酸素が吸えなくて死んだり何やかやでロイくん以外のクルーが死んだ。悲惨。

これから79日4時間8分、たった1人の宇宙旅行が決定した。私なら死ぬ。

 

ロイくんは死ななかった。

 

死ななかったけど別れた嫁さんの恨みつらみメッセージ、パパが宇宙から送ってくれた壮大な夢を語るメッセージ、殺しちゃったクルー、上司、ありとあらゆる記憶が走馬灯のように駆け巡りロイくんは

「独りはつらい……」

虚無になった。

でしょうね。

 

それでもうっかり自殺とかせずに海王星まで辿り着いたロイくん。

クルーの死体だらけの船に乗り込みパパを探しつつ核爆弾を設置しているとパパと再会!やったー!

なのにパパは「この30年宇宙にいて地球のことも家族のことも考えなかった」と言った。ロイくんは「だろうね」なんて返したが泣きそうだった。

そりゃ「いつだってロイのことを考えてたよ愛しの坊や」くらい言ってもらわないと79日4時間8分の孤独は癒えないよね。

挙句地球に一緒に帰ろうと手を差し伸べたら避けられるって。こんなことってある????

口を開けば「地球外生物地球外生物!」とうるさいパパにロイくんは淡々と「僕達(人間)にはお互いが全てだ」と返す。

79日4時間8分の孤独を乗り越えた男は言うことが違いますねェ!

 

それでもパパは狂人のままで、ついぞ「お父さん」には戻らなかった。

具体的に言うとロイくんと一緒に船を出たけどそこでやっぱり宇宙へのロマンが捨てられなくて、ロイくんを突き放して宇宙の彼方へ消えていった。

酸素がなくなるのが先か太陽みたいな熱を放つ恒星から離れすぎて凍え死ぬのが先か。

なんて勝手なパパなんだ……。

ロイくんは落ち込みに落ち込んだが、視界の端に乗ってきた船を認め「僕は地球に帰ろう……」となんとかかんとかして船に乗り込み核爆発の余波を利用した推進力でバビューンと地球に帰った。

余波なのかな……。爆風みたいなイメージだったけど宇宙空間に爆風なんて起きないしな……。まあフィクションフィクション!ガンダムも宇宙空間でドンパチしては派手な爆発音鳴らしてるけど、あれが心燃やすんだから!そういうもん!

 

ちなみに私はビルドファイターズが好きです!(ガンダム「プラモデル」を操縦して戦うアニメ。宇宙関係ない。)

 

ところでいくらフィクションだとしても宇宙帰りのポッドに特殊な装備無しの生身の人間が近付くのは不味いと思いました。

平気なのかもしれないけどこと今回の彼に至っては

「核爆弾で船ぶっ壊してきたよ」って事前連絡入れてるから放射能まみれの船だと思うんですが……。

もしかしたら43億6300万キロもかけて移動すると放射能は無くなる……?これがサイエンス・フィクションか……やっぱり映画は最高だぜ!

 

 

 

おわり。