BABYLONをみた

きっっっったない映画だったけど面白かった。


開始数分でゾウさんの💩を全身に浴びる映像見せられてオエッてなったと思ったら、ゾウさんを連れていったパーティー会場は男女問わず裸体晒して画面端ではセックスしててモザイクかかってるし鼻から粉吸ってるしとんでもねぇ……って圧倒され、いやドン引きした。
でもそんな狂乱の宴で流れる音楽は最高なんだよな……。

ブラピの役が無声映画で超有名な俳優さんって役なんだけど、トーキーが映画界を変えていった辺りから時代じゃなくなってしまって、やがて演者が見つからない時最後に電話をかけてオファーを投げる役者にまで落ちるのが悲しかった。
栄枯盛衰、沈まぬものはなしって感じ。
自分の演じた映画が観客に笑われながら観られているのを知って、自分を下げるゴシップ雑誌の記者に殴り込みに行ったら、笑われているのは演技や声が悪いんじゃなくてただあなたの時代が過ぎただけってバッサリ。
今までも落ち目になった時はあったから、また復活できるはずと口では言いつつも目がきっともうそんな日は来ないって悟ってる時のシーンめちゃんこ悲しかった。
「あなたが死んでもだれかがフィルムを回せば観客の中であなたは生き続ける。天使や愚者と一緒に永遠に。それを幸運なことと思わなくてはいけない」みたいな感じのセリフ良かったな。
最後、拳銃持ってバスルームに行き発砲音と壁に飛んだ血飛沫を扉の隙間からしか見えない所も良かった。
前半のパーティーでは遅れて参加しても人が集まってくる大スターだったのに、死は呆気なく寂しい。
映画を撮影する過程の事故で死んでいった役者やスタッフたちよりも静かな死だった。

一方マーゴット・ロビー演じる新人女優ネリーは飛ぶ鳥を落とす勢いでスターダムを駆け上がっていく。
ボサボサ頭で薄っぺらいドレスを着ていたネリーが髪を綺麗に整えて仕立てのいい服と宝石を身につけて出てきた時は最高だった。
それがトーキーになると撮り直しの連続、自分の立つ位置も覚えていないだとか、声がブサイクだとかで敬遠されるようになり、印象を変えるべくお上品なパーティーに連れていったら我慢できずに大あばれしてゲロ噴射。とんでもなさ過ぎて笑えもできん。

最期はギャンブルに溺れてマフィアに目をつけられ、たった一日の短い逃避行の間に幸せを手に入れ闇夜に去り、新聞の片隅に死体が上がった記事が載せられるだけでネリーという女優が終わってしまった。
ネリーという人間はそこで終わってしまったけど、映画を再生すれば画面の向こうに生き返るってラストも嫌いじゃない。
あんなに大あばれしたネリーがメキシコでひっそり生きていけるわけないし、幸せになれるとも思えないのでネリーの終わりはアレがいい。
愛してる、一緒に逃げて結婚しようって言われて幸せな人生を思いながら車を降りて、街灯がスポットライトみたいに照らして明るくなっている道路の真ん中で鼻歌を歌いながら踊って、明かりも何もない夜闇に消えていく。
あのシーンすごい良かった……。

3時間クソなげ〜って思ってたけどあっという間だったぜ。