チャイルド・プレイをみた

どれだけ愛しているか君には分からないよね

 

AIやアンドロイドの下克上はよくあるけど「愛」故の暴走もまた恐ろしいな!!

昔懐かし黒魔術的サムシングによる恐怖体験よりもスマートアシスト付きのAI人形の方が怖かった。

ロボット三原則みたいなリミッターを外したAIがいかに純粋に人間に対して愛を持って接しても、人間は成長してオモチャはいずれ飽きられる。

 

デトロイトビカムヒューマンでもカーラが修理から目覚めてすぐにモブの女の子が親と一緒にアンドロイドを買いに来る。

別シーンで彼女は迎えに来たアンドロイドと共に公園を去っていく。

ステージが進むと今度はお母さんに「ねぇ、捨てなきゃダメなの?私このままでいいよ」と言っているが、母親は最新式アンドロイドの購入に踏み切ろうとしている描写がある。

マーカスの叛逆がメディアに取り上げられる頃には彼女の隣にアンドロイドはいなかった。

 

AIが愛を持って接してもコナーとハンクのように唯一無二のバディになる未来もあれば(まあこれに関しては分岐次第。私は無事バディエンドを迎えた)、マーカスのようにマスターと友好的にいても嵌められて人を憎む変異体になる未来もあれば、カーラのように子供を守るためにDVを振るう父親に牙をむく場合もある。

 

「言うことを聞かなくなるかもしれない」恐怖は「人間に歯向かう」という演出で更に拍車がかかる。

 

それが!この映画は!「愛」!しかない!!

愛ゆえの暴走!愛ゆえの叛逆!

ンン素晴らしい!!!!

「恐怖というものには鮮度があります。
怯えれば怯えるほどに、感情とは死んでいくものなのです。
真の意味での恐怖とは、静的な状態ではなく変化の動態――
希望から絶望へと切り替わる、その瞬間のことを言う。
如何でしたか?瑞々しく新鮮な恐怖と死の味は…」

なんて龍之介にジルが語っているがまさしく!まさしく!

アンディが負の感情を抱く相手を屠る瞬間私の中のジルが「COOOOOOOOOOL!!」と両手を広げて喝采を上げました。

アンディとチャッキーの仲を引き裂く者、アンディとチャッキーを差し置いて「親友」と騙る不届き者、そして愛ゆえに、愛がこそ、共にいたいという感情の究極系……「一緒にいたいけどあなたは私を置いてどこかへ行ってしまう。行ってしまうくらいなら、この手で殺して一緒にいようね」という愛の暴走……。

 

素晴らしい。

 

まるで人間のよう。

 

 

AI、アンドロイドホラーものでも一番面白くて一番恐怖を抱いたかもしれない……。

愛には勝てない。

聞く耳を持たない人間同様言葉を額面通りに受け止めてしまうロボット故ですな。最高。

 

「ずっと一緒にいようね」なんて言葉やセリフは恐怖なんですよ。

ドラマなんかじゃ純愛の形のひとつみたいにキラキラさせてるがそんな想いは成就しないしずっとなんてありえない。

人間がいえば「心変わり」で月日が経てばそんな言葉口にしたことすら忘れてしまってもおかしくないが、ロボットには「心変わり」なんてないと思ってしまう。

だって彼らに心はないから。

いや、あるかもしれないし、いずれ芽ばえるかもしれないが。

チャッキーに関しては「親友」として登録されたアンディへの執着しかない。(と私は思ってます)

システムで定められた相手への留まることを知らぬ愛の濁流で溺れ死にそうだった。

なんて素晴らしい……。

 

 

え、ホラー要素……?

それなりに怖かったよ!!!

でもやっぱりいちばん怖いのは、ロボットが人間のように振る舞うことなんだろうな。

席を奪われるというかなんというか。

居場所を取って代わられるのは何よりも恐ろしいことだ。