エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスをみた

何かをしようとしてもすぐに諦めて失敗してきた世界の君なら、なんでも出来る。
アルファ・ウェイモンドのセリフ、それ全然背中押せてなくない!?
と思いつつ、失敗続きの世界の枝分かれはなにかに成功した世界っていうのはなんか悪くねーな……!なんて。
「あのときああしなきゃ良かった」とか、「あのときああしとけば良かった」とか、自分の選ばなかった世界のことを思って後悔ばかりするよりかは、こうならなかった世界線の自分は今頃どんな人生をおくっているのかしらんと空想する方が楽しそう。


主人公のエヴリンは貧乏で確定申告の領収書と戦ってる疲れきった一児の母、優しいけど二種類しかないペンキすら間違える夫と、痴呆入ってそうなのに嫌に頑固な父親と、反抗期の娘と暮らしている平凡より不幸寄りな人間なんだが、アルファ世界線では別世界線の自分の経験や感情をアルファ世界線の自分にインストール出来るシステムを構築したとんでもない大天才。
だけどその実験のために娘に負荷をかけすぎて、闇堕ちした娘が世界を滅ぼそうとしているので、アルファ・ウェイモンドは数多の世界を巡って、遂に可能性の塊である疲れきった主婦エヴリンの元にやってきたのだった……!

っていう流れなんだけども、別世界線の自分の経験を現在世界線の自分にインストールする方法が「馬鹿げたことをした時に起きるエネルギー」を使う必要があり、この「馬鹿げたこと」が凄まじかった。
特にイヤ〜〜!!てなったのは、紙で手を5回切る(地味に痛い!)のと、アナルプラグみたいな形をした記念盾をおしりの穴に突っ込むこと。
エヴリンを妨害しようとする男がこの盾をおしりの穴に入れようとするんだが、攻防の果て突然現れた他の妨害者が大ジャンプからのケツ着地によるプラグ挿入(しかも下半身露出のためモザイク処理かかってる)をキめててうぎゃーーー!!!!となった。
慣らしも濡らしもしないでそんなことするなんて……ケツ裂けるぞ!!!!と思わず目を覆った。

世界線の種類もめちゃくちゃで、ウェイモンドの求婚を断った帰りに暴漢に襲われるも、突然現れたカンフーマスターに助けられ弟子入り。その技力を使って女優になった世界線や、お父さんにちょこまか走るな! と注意されたときに転けてしまい、手に持っていた棒で失明、盲目の歌手として大成する世界線
一番ギャーっとなったのは指がソーセージの世界線
2001年宇宙の旅をオマージュしてるセットで、普通の五本指のサルvs五指がソーセージのサルが戦った末、ソーセージサルが勝った世界線のエヴリン……。
クレイジーすぎでは?キショすぎ。

その他馬並みディルドで戦う闇堕ち娘とか、アライグマの代わりに肩車で髪の毛を操ったりとか、なんだこれ〜!て展開のオンパレード。
エヴリンの七変化も面白かったが、闇堕ちした娘のメイクと衣装も最高に可愛かったな〜。
あとカンフー強すぎな。

色んな世界線の自分と混線しつつも、最後は伝えたいことを伝え、やりたかったことをやり、失敗ばかりの世界線で、価値ある時間なんて僅かしかないけどこの世界で一緒に生きていこうよ、と娘と和解エンド。
アルファ世界のエヴリンと和解出来た訳では無いけど(死んでるから)、数多の世界をインストールして、良い母親悪い母親のエヴリンを見てきた娘がそうするって戻ってきたので良かった良かったって感じ。
めっちゃ面白かった。
ただBABYLONくらいエネルギー半端ないので疲れた!!!